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大子那須楮(だいごなすこうぞ)

大子那須楮 生産技術

大子町における楮の栽培は古く、水戸藩二代藩主 徳川光圀が植栽を奨励し、藩財政を支えるとともに地域の特産品として発展した。最盛期の昭和10年代~20年代には年間約45トンの白皮が、仲買人(問屋)によって全国の和紙産地に出荷されていた。岐阜県美濃市には明治時代から大子産の楮を仕入れていた取引記録が残されている。

大子町産の楮は繊維が細かく緻密なため上質な和紙に仕上がり、絹のような美しい光沢を放つのが特徴。その品質の良さから、美濃市の和紙の中でも最高級の「本美濃紙」(ユネスコ無形文化遺産指定)や福井県の紙漉きの人間国宝による「越前奉書」は大子那須楮のみを原料としている。さらに、著名な版画作家、重要文化財の修復にも使われるなど、全国の和紙産地や紙問屋から多くの引き合いがある。また、東京オリンピック・パラリンピックの賞状の原料として使用される予定です。

そうした品質の良さは、日当たりと水はけの良い地形や昼夜の寒暖の差など好条件に恵まれた地域性のみならず、育成、加工のほとんどを手作業で丁寧に行うのも品質を保つ要因。中でも加工過程の表皮取りは、黒皮と甘皮を手作業で削り取る重要な作業で熟練の技を要する。その際に使用する、わら製の「表皮取り台」は昔から伝わる他産地にはない独自の手作りの伝統品である。

高品質で人気のある大子那須楮であるが、生産者は高齢化し出荷量も年々激減し、全国の需要に応えるためには生産量の増加、技術の伝承、後継者育成は急務であることから、生産者や加工業者など10名が平成28年11月に大子那須楮保存会を発足した。それを機に、それまで那須楮と呼ばれて近隣地域産とひとくくりにされていた楮を「本場物」として差別化を図り、ブランド化を目指そうと「大子那須楮」と名称を改め、品質を保証する産地証明札を付けて出荷。現在の会員数は16名。年間出荷量約4トン(令和元年)であるが、会の発足により出荷量は年々微増しており、さらなる増量と品質向上に努めている。

また、保存会が設立されたことにより、出荷先の和紙産地との交流も積極的に行われており、美濃や越前から紙漉き職人が毎年の研修に訪れている他、保存会に対し楮生産者の技術者育成の助成を受けている。

和紙産地としては、大子那須楮が技術伝承等されることは重要な喫緊の課題である。

 

 

  『大子那須楮1』の画像『大子那須楮3』の画像  
  • 区分   : 大子町指定文化財
  • 種別   : 無形文化財
  • 団体名称 : 大子那須楮保存会 (事務局 大子町特産品流通公社内)
  • 内容   : 大子那須楮の生産及び技術の伝承

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