「ヒメザゼンソウ」は、主に北海道南部から中国地方まで日本海側の渓畔の湿地に生える「サトイモ科」の多年草で、まれに関東地方や中部地方にも生えます。葉には柄があり、長だ円形で長さ10〜15センチメートル、円頭心脚、根本から倒れ気味につきます。多肉の根茎から太いひも状の根が生えます。春に伸びた葉は5月頃枯れ始め、その頃根本から仏焔苞(葉の変形した苞のうち、肉穂花序を包む大形のもの)に包まれた花序を側出し、直立します。花後、仏焔苞は崩れ、肉穂花序は緑色で粒面の長さ2センチメートルくらいのだ円体として側方に点頭し、年を越して次年の開花後に成熟して落ちます。
このヒメザゼンソウは、山林北側斜面の湿地を中心に周辺一帯に自生し、その面積約840m2及んで群落を成しています。このように広範囲に群生しているのは、県内でも珍しく、この植物の種類、植生の上から貴重です。代表的な野生植物群落として、町の自然を記念するものです。
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